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手漉き和紙に辿り着くまで・・・その三

撮影:逆光写真家 渡辺八郎
撮影:逆光写真家 渡辺八郎

頑張って和紙を漉いている義母を見て、「工房が生きがいになっている。」と安心していたのですが、年数が経つにつれ、少しずつ雲行きが変わってきました。年々義母が私達にお金を借りる頻度が増えてきたのです。「おかしいな?」と気づいた時には、工房の経営はかなり深刻な状況になっていました。

古い道具や設備は再々修繕が必要で、経費はかさむのに売り上げは3分の1以下に激減。この工房を続けるのは無理か・・・と数年前の私なら廃業を勧めていたと思うのですが、この時「工房の経営は私が何とかしますので、お義母さんは和紙の製作だけに専念してくだい。」と言ってしまいました。主人は継続して作業を手伝い、私が注文や売り上げ、経費の管理をすることになりました。

まだ「和紙を漉きたい。」と言う想いはなかったものの、「工房の為に何かしたい。」という想いが芽生えていました。