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手漉き和紙に辿り着くまで・・・其の四

工房に関わり始めてあっという間に5年経ち、県の補助金などの支援を受けながら 何とか工房は続けられていましたが、売上は回復することはなく、厳しい経営状態は続いていました。

一度離れたお客様に戻ってきてもらうことの難しさを痛感しつつ、この工房を続けていくにはどうしたらいいか・・・・と日々考える時間が増えていきました。それと同時に、和紙に触れる時間や義母の作業を見る機会も増えていき、「手漉き和紙ってなんて綺麗なのだろう・・・。こんな綺麗な和紙を漉きたい。」と不思議な感情が湧いてきたのです。

工房を続けていきたいという想いと、私も和紙を漉きたいという想いがやっと一つになった瞬間でした。

「その年齢から始めるの?」と周囲からは無謀と言われつつも、義父がなくなってから15年かけて少しずつ育った想いは変わることはありませんでした。しかし、一刻も早く手漉き和紙の修行をしたいと焦る気持ちに、追い打ちをかけるような出来事が起こるのですが・・・。これはまたの機会に。