
私たちの工房



手漉き和紙への想い
手漉き和紙は、日本の文明と文化を支えてきた大きな立役者でした。
書や手紙、浮世絵や錦絵、さらに住居の障子や襖といった和室のしつらえまで、あらゆる場面で土佐和紙をはじめとする手漉き和紙が欠かせない存在でした。
しかし、和紙が生活の中でなくてはならない存在だったのは、もう100年以上も前のこと。情報伝達や記録保存という重要な役割を終えた和紙は、現代の暮らしから遠ざかり、紙そのものも「保管するもの」から「消費するもの」へと変化しました。
それでも、土佐和紙の手漉き技術は1000年以上の歴史を持ち、高知県土佐市の仁淀川流域で今も静かに受け継がれています。
手漉き和紙は自然の恵みと先人の知恵の結晶であり、1000年の寿命を持つといわれる耐久性と、「伝えていきたい」と思わせる不思議な魅力があります。
私たち井上手漉き工房は、高知観光で体験できる和紙づくりの場として、この小さな工房から世界に向けてその魅力を発信しています。
和紙を漉く体験を通じて、自然とのつながりや伝統工芸の奥深さをぜひ感じてください。

井上手漉き工房の歴史
井上手漉き工房は、明治後期に初代・井上寅八(いのうえとらはち)が土佐市高岡町で手漉き和紙の事業を立ち上げたことから始まりました。
二代目・井上繁子(いのうえしげこ)は職人を雇用し、工房の規模を拡大。地域に根ざした土佐和紙の製造を本格的に発展させました。
そして三代目・井上稔夫(いのうえとしお)は、自身が10代から和紙職人として技を磨き、伝統を守りつつも新たな価値を生み出しました。稔夫の漉く和紙は、薄く繊細でありながら丈夫で、特に障子紙や提灯紙、掛け軸や屏風の表具用和紙として全国から高い評価を得ました。
さらに稔夫は、「後世に残る本物の和紙を漉きたい」との想いから、重要文化財や国宝の修復に必要な和紙の研究と開発にも取り組みました。その成果として、鎌倉時代の国宝『明月記』や『御堂関白記』、『土佐日記』をはじめとする貴重な文化財の修復紙に、稔夫の和紙が使われるようになりました。
こうした功績が認められ、平成7年には文化庁より「選定保存技術保持者(重要文化財修復用和紙製作)」に認定。翌平成8年には、高知県から伝統工芸の卓越した技術者に贈られる「土佐の匠」にも選ばれています。
「手漉き和紙が未来につながる文化であり続けること」
稔夫のこの想いと情熱は、井上手漉き工房の大切な柱として、次世代の職人たちにしっかりと受け継がれています。


工房概要
名称
土佐和紙 井上手漉き工房
(とさわし いのうえてすきこうぼう)
創業から
明治後半より初代 井上寅八が、手漉き和紙の生産を始めてから、現在で4代目
住所
〒781-1102 高知県土佐市高岡町乙2776
TEL・FAX
088-852-0207
事業内容
アクセス
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手漉き和紙の販売卸し
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手漉き和紙小物・雑貨の卸し
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体験イベント・ワークショップ開催
車:高知自動車道「土佐IC」から約5分
公共交通:朝倉駅・伊野駅からバス約20分
(「土佐市市役所」下車)




